しるしのはなし

中国・漢朝

中国・漢朝

漢朝「広陵王璽」金印

後漢の光武帝が直轄国である「広陵国」の王へ授けた金印とされる。鈕(つまみ)の形は“内臣”をを現わす「亀鈕」である。同じ頃に光武帝から贈られた「漢倭奴國王」金印とは、サイズ・重さ・鈕の文様などが相似していて、同じ工房で製作されたとされる。

中国・清朝

中国・清朝

清朝「乾隆帝二十五宝璽」

古代中国の印章は“封泥”が主でしたが、やがて地位・権力の“しるし”とされました。その象徴が「官印制度」です。秦の始皇帝(紀元前二二一年〜)が初めて官印制を整え、とくに皇帝の印を「璽(じ)・宝璽」と称しました。宝璽は勅文を出す、兵を動かす、祭祀を司るなど、皇帝による権限認証の“しるし”。その後も歴代王朝に受け継がれ、最後の統一王朝・清の時代には三十九宝璽を数えました。それを乾隆帝(在位一七五三年〜)の代に、清朝二十五代までの繁栄に因んで整理したのが、唯一現在まで残された文化遺産「乾隆帝二十五宝璽」になります。

清朝・乾隆帝二十五宝璽「大清嗣天子宝」金印

“王位継承”などを認証する場合に用いられる皇帝印、清朝・乾隆帝「二十五宝璽」の一つ。唯一の純金製で、印面は他の宝璽と同様に、満州族文字(左側)と漢文(右側)とが彫られている。高さ七・六センチ、一片の長さ七・九センチである。

清朝の皇帝印「二十五宝璽」
  • 「皇帝信宝」
    白玉、戦争発動を認証する印
  • 「命徳之宝」
    青玉、忠誠を尽くした大臣官僚を
    奨励するための印
  • 「垂訓之宝」
    青玉、国家の方針や法律の権威を
    高めるための印
  • 「勅命之宝」
    青玉、皇帝の指示を下し復命を
    受けるための印
  • 「制告之宝」
    青玉、大臣官僚を戒めるための印
  • 「討罪安民之宝」
    青玉、反乱などを鎮圧するための印
  • 「巡守天下之宝」
    青玉、各地勢力を従わせるために
    巡回することを認証する印
  • 「表彰経史之宝」
    青玉、古訓を尊ぶための印
  • 「欽文之璽」
    墨玉、文化教育関係事項を
    認証する印
  • 「広運之宝」
    墨玉、称号や地位を与える時に
    認証する印
  • 「勅正万民之宝」
    青玉、国民に告示をするための印
  • 「勅正万邦之宝」
    青玉、外国と往来するための印
  • 「制馭六師之宝」
    青玉、軍隊を統治するための印
  • 「皇帝之宝」
    紫檀、綱紀粛正などを認証する印
  • 「皇帝之宝」
    青白玉、犯罪人などの
    赦免を認証する印
  • 「皇帝奉天之宝」
    青玉、天より与えられた
    皇帝の命令を認証する印
  • 「大清受命之宝」
    白玉、王家系統を認証する印
  • 「皇帝行宝」
    青白玉、貴族への奨励を認証する印
  • 「皇帝親親之宝」
    白玉、同族同盟関係を認証する印
  • 「皇帝尊親之宝」
    白玉、皇太后称号、
    先祖廟号などを認証する印
  • 「天子之宝」
    白玉、祭祀活動を司る印
  • 「敬天勤民之宝」
    白玉、勤勉清廉な官吏を
    奨励することを認証する印
  • 「天子信宝」
    青玉、特命事項を認証する印
  • 「天子行宝」
    青玉、異民族へ封号を
    与えることを認証する印